すっきり、すっぱり、いさぎよく!
前略 一年後の喜久子さんへ
今年の冬も寒さ厳しく、年始早々風邪に罹った私は、これも運の尽き、と今はおとなしくしています。けれど今年は、七赤金星・双子座の運勢が良く、正月に引いたおみくじが大吉だったので、期待しているのです。でも他力本願は性に合わないから、自分の力で未来を切り拓こうと思います。
そこであなたにお願いがあります。
これから一年間、私がやろうとすることを、見守っていてほしいのです。怯むようなことがあれば、後ろから背中をそっと押して下さい。私はあなたの力を得て、きっと、為すべきことを成し得るでしょう。
それでは今から目標を掲げます。
≪三年間の片思いに終止符を打つ!≫
え? 何だそんなこと、と思われるかもしれませんね。私も健康や仕事、趣味のことなど、いろいろと考えてみました。しかし今年は運勢も良いし、あなたも応援してくれるので、少し冒険しようと思うのです。
終止符を打つ、とは、告白する、ということです。別に諦めている訳ではありません。この先、相手に思いを伝えて、相手がどう応えてくれるか。相手と神のみぞ知る、です。
けれどこの告白は、少々分が悪い気がします。去年のバレンタインデーに、チョコレートを渡したら、ホワイトデーにお返しをもらったのですが、どうも〝義理〟のようだったので、うまくお礼を言えませんでした。
今年はどうするのか。バレンタインに賭けるか、六月の相手の誕生日に告白するか。それとも両方? 思いあぐねています。
そんな私に、あなたは言うでしょうね。
『宣誓したのなら、行動あるのみ!』
と。そうなのです。私が怖いのは、恋を失うことではなくて、自らの自尊心を傷つけられたくない、ということなんだと思います。
でもそれは、相手より自分の方が上、と見ているようなおこがましい考えです。対等な立場にあって心を開くと、結果がどうであれ、後悔しないでしょう。
勇気のいる行動ですが、頑張ってみます。
この一年間、基盤となるのは、健康・仕事・趣味の三本柱です。充実した一年を過ごし、あなたに人生行路のバトンを渡すのが、私の役目。待っていて下さい。あなたの処へ辿り着くまで、日々淡々と着実に歩んでいけるよう、努力します。
あなたも、不安や恐れがあれば、私に相談して下さい。何の力もありませんが、経験だけは積んでいます。参考になると思いますよ。
それではこの辺で筆を置きます。長々と失礼いたしました。 かしこ
二〇一三年一月一七日 喜久子より
-FIN-
作成 2013.02
テーマ 一年後の自分へ手紙形式でエッセイを書く。