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頑張れ! きくちゃん、大輪の花

 二〇一四年も、もうあと残りわずか。この一年を振り返る時期がやってきました。
「今年はあなたにとって、どんな年だったでしょうか?」
 と私自身に問いかけてみたところ、
「よく頑張りましたね」
 と答えた私。そして、とても我慢した一年だったと感心しています。
 感謝と敬意を込めて、私自身に〝ありがとう〟の言葉を贈ります。

 前略    一年間頑張った喜久子さんへ

 今年はあなたにとって四回目の廻り歳、年明けから気合いが入っていましたね。けれどいつものように、日々淡々と着実に歩むことを忘れずに、しっかりと毎日を過ごしていました。これは素晴らしいことです。自信を持っていいですよ。
 
 今年のトピックスはなんといっても、仕事について、です。あなたが障碍者の作業所に通うようになって、五年目となりました。京都の西陣から太秦天神川(うずまさてんじんがわ)まで、市バスと地下鉄を乗り継ぎ、片道四〇分。右半身麻痺があるあなたには、それだけで大変でしたね。
 それでも今まで続けてこられたのは、仕事の楽しさが分かってきたからだと思います。無器用なあなたがミシンなんて、初めは驚きましたが、今では慣れた手つきで、スイスイとやっている様子で、安心しています。
 ところが、八月末にミシンをする人があなた一人となり、その忙しさに目が回っていましたね。ストレスから来る過食で、急に体重も増えました。元来のあなたの真面目さが仇となり、どんどん仕事の量が増えてしまい、ハラハラしたものです。辛抱我慢の一念で、ようやく乗り越えた時には、ホッとしました。これからは、自分を大事に第一に考えるようにして下さいね。
 
 二つ目もトピックスは、七月一七日に叔父さんが亡くなったことです。
 けれどあなたは、別のことでつらかったはずです。それは〝次は両親の番だ〟と思ったこと。やっぱり考えてしまうものですが、案ずるより産むが易し、あなたは自分が思っているよりも遥かに、強く生きていますよ。
 今までは、両親の庇護の下に生きてきたあなた。これからは、両親と弟と家族四人、力を合わせて助け合い、仲良く暮らしていって下さいね。
 
 さぁ、きくちゃん、五十代は目の前です。大輪の花を咲かせましょう。〈五十にして天命を知る〉あなたが為すべきことを、今こそ成し遂げるのです。それが何なのかは分かりません。それでもあなたが、今のままで頑張っていれば、自ずから道は拓けるでしょう。私が後ろから『大丈夫』の声をかけ続けます。私は見たいのです。未来に降り敷く希望の花を。あなたならきっと咲かすことが出来ますよ。応援しています。     かしこ
 
 二〇一四年十二月      喜久子より

 

-FIN-

 作成 2015.01


テーマ 2014年を振り返り自分をほめるエッセイを〈手紙形式〉で書く。

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